研究実績の概要 |
真空中に設置した光共振器にパルスレーザー(10-ps pulse)を357MHzの繰返しで共鳴入射しながら、新規の逆周回共鳴フィードバック法により入射レーザーパルスの強度を100-usの間10000倍以上にすることに成功した。これによって、蓄積レーザーパルスエネルギー 1.0mJ/pulseまで高反射率誘電多層膜ミラーは破壊されないことが確認できた。この増幅レーザーパワーは375kW以上であり、ミラー表面でのpeak power密度が10GW/cm2以上に対応している。マックスプランク研究所等が250MHzの繰り返しで行った実験では、平均パワー670kW(10-ps pulse)と400kW(250-fs pulse)の安定蓄積を報告している。この結果からミラー表面でのレーザーパルス平均密度4.7MW/cm2, 2.8MW/cm2及びpeak power密度2.2GW/cm2, 53.3GW/cm2まで高反射率誘電多層膜ミラー破壊は起きていないことになる。我々の結果とマックスプランク研究所等の結果から破壊閾値はレーザーパルス平均密度で10MW/cm2、peak power密度で数十GW/cm2以上が期待できるのであるが、系統的な測定が高反射率ミラーの取り扱いと測定系の構築に多大な時間を要した為に行えなかった。重要な技術は高反射率ミラーの光子吸収率2ppm/mirror以下を実現して、その値を保つ方法である。これを実現することによって、ミラーの破壊をレーザーパルス平均密度で10MW/cm2まで回避できる。ただし、ミラーの熱変形は発生するので、冷却法を検討する必要がある。このようにMW級レーザーパルス蓄積共振器の実用化技術が見えてきた。
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