本研究は物質中の電子(または正孔,原子核,励起子)の持つ最大のスピンコヒーレンスを引き出すことを目的に,スピン位相回折格子の概念の確立と核スピンゆらぎによるスピンコヒーレンス低減の抑制を目指している.H24年度において,3パルス四波混合法において励起偏光の組み合せにより,スピン位相回折格子の形成を確認した. H25年度は応用研究としてCdTe/CdMgTe単一量子井戸中の残留電子を用いて,そのスピン分極形成ダイナミクスを時間分解カー回転法を用いて,観測された負の初期位相が負の荷電励起子の速い正孔スピン緩和に起因するものであることをモデル計算と実験から突き止めた.
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