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2012 年度 実施状況報告書

半導体による直交位相振幅スクイズド光の発生

研究課題

研究課題/領域番号 24654081
研究機関東北大学

研究代表者

三森 康義  東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (70375153)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード光物性 / 量子エレクトロニクス
研究概要

直交位相振幅スクイズド光は2光子過程により生成される。その発生方法は、現在までに原子の量子準位の共鳴効果を用いる四光波混合過程による発生方法と、非線形光学結晶によるパラメトリック増幅過程で発生する方法の2種類がある。本研究では、半導体中の励起子分子に2光子共鳴する共鳴ハイパーパラメトリック散乱過程を利用し、半導体結晶による高効率でかつ高品質の直交位相振幅スクイズド光の新しい発生法の開発を目指している。そのため、本年度は半導体中の励起子分子状態の基礎特性の取得と励起子分子共鳴ハイパーパラメトリック散乱の観測をCuCl結晶を用いて行った。基礎特性評価としてCuCl薄膜中の励起子分子の位相緩和時間と励起寿命の測定をフォトンエコー法及びポンプ-プローブ法を用いて行った。CuCl薄膜中の励起子分子の位相緩和時間と励起寿命はおおよそ膜厚に比例する結果を得た。また、励起子分子共鳴ハイパーパラメトリック散乱は数百nm程度の膜厚の場合、共鳴ハイパーパラメトリック散乱された2光子が共に前方に散乱される過程よりも1光子が後方、もう1光子が前方に散乱される過程が支配的であることが判明した。一方、厚膜(数μm)の試料の場合、散乱された2光子が共に前方に散乱される過程が支配的となっていることが実験的に明らかになった。これらの基礎特性評価より、CuCl結晶を用いて直交位相振幅スクイズド光の発生を行うには厚膜の試料を用いることが望ましいことが明らかになった。また厚膜のCuCl試料において、フェイズロックパルス対を用いてスクイズド光発生で不可欠なパラメトリック利得の観測にも成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

CuCl結晶中の励起子分子の位相緩和時間、励起寿命、共鳴ハイパーパラメトリック散乱の膜厚依存性は本研究で初めて実験的に観測された新規の現象である。そのため詳しい膜厚依存性の測定等の基礎特性評価に時間を要した。

今後の研究の推進方策

励起子分子共鳴ハイパーパラメトリック散乱された2光子が前方に観測されている厚膜のCuCl結晶において、パラメトリック散乱光の縮退光成分である直交位相振幅真空スクイズド状態の検出を平衡ホモダイン測定により行う。また、CuCl結晶の励起子分子の位相緩和時間等の膜厚依存性の物理的起源についても同定を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

偏光光学素子や平衡ホモダイン測定に用いる高量子効率のバランストフォトディテクタに使用する電気素子、スペクトルアナライザ等の購入、成果発表旅費に使用予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Polarization dependence of four-wave mixing via biexcitons in CuCl microcavities2012

    • 著者名/発表者名
      S. Matsuura, Y. Mitsumori, H. Kosaka, K. Edamatsu, K. Miyazaki, Y. Kanatani, D. Kim, M. Nakayama, G. Oohata, H. Oka, H. Ajiki, H. Ishihara
    • 雑誌名

      Phys. Status Solidi C

      巻: 9 ページ: 2505-2508

    • DOI

      10.1002/pssc.201200326

    • 査読あり
  • [学会発表] CuCl微小共振器中励起子分子のエネルギー緩和2012

    • 著者名/発表者名
      松浦心平,三森康義,小坂英男,枝松圭一,宮崎健一,金谷侑佳,金大貴,中山正昭,大畠悟郎,岡寿樹,安食博志,石原一
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      横浜国立大
    • 年月日
      20120918-20120921

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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