水中での水素イオンや水酸化物イオンの動き方や分布を決めているルールが分かると、触媒反応の理解や制御への道が大きく開ける。本課題では、水分子同士が弱くつながった水素結合ネットワークに含まれる「環状構造」に着目した解析を行い、(1)液体水にはその「環状構造」に起因するミクロな不均一性があること、(2)水素イオンや水酸化物イオンはある種の「環状構造」から反発的な相互作用を受けることを見出した。これらは計算機シミュレーションで得られた知見であるが、モデルの精度に左右されない丈夫な概念であることも示唆された。
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