研究課題/領域番号 |
24654088
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
蓑輪 陽介 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50609691)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光物性 / テラヘルツ光 |
研究概要 |
チャープ発生装置およびマイケルソン干渉計を構築し、ビート光の発生を実現した。また、低温成長半導体GaAs基板のポンププローブ測定を行い、その光励起キャリアダイナミクスをサブピコ秒の時間分解能で評価した。 まず本研究の遂行に必要不可欠であるチャープ発生装置の設計・構築を行った。0.126 ps2 rad-1のチャープをつけるために、回折格子対とレトロリフレクターによる実験系を採用した。事前に高分散性によるチャープ付加も検討したが、チャープ量が固定されてしまうために不適と判断した。最終的なスループットは41%となり、実験に必要と予想されるパルス強度が実現可能である。 また、チャープ発生装置と組み合わせて、ビート光発生を行うために、マイケルソン干渉計を構築した。マイケルソン干渉計を数時間の実験中、安定化させるために、参照用のHeNeレーザーを用意した。このHeNeレーザの波長にロックすることで、実際に数時間に渡って安定な干渉計を構築できた。チャープ発生装置とマイケルソン干渉計を結合し、10psのパルス幅を持つビート光の発生に成功した。 低温成長GaAs基板を試料として、800nmポンプ800nmプローブの測定を行った。その結果、ポンプ光の強度が十分に弱い場合には光励起キャリアの寿命はサブピコ秒程度であることがわかった。一方、励起光強度を増やすに従って、数十ピコ秒を超える長い寿命成分が現れることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度中に遂行を予定していた二つの計画、ビート光の発生装置構築と、低温成長GaAsの特性評価を実際に達成している。そのため、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。それぞれ、「屈折率が時間的に周期変動するような媒質中での光の振る舞いを明らかにする」という研究目的を達成するために必要不可欠なステップである。
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今後の研究の推進方策 |
テラヘルツ時間領域分光装置を構築し、これまでに構築済みであるビート光発生装置組み合わせる。これによって、試料を周期的に光励起可能しつつその光学的性質を測定する実験装置が完成する。同時に、低温成長GaAs以外の試料候補の探索も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入予定であった波長安定化されたHeNeレーザーのかわりに、小型HeNeレーザーを用いるなど、実験系設計・構築を行う中で、必要に応じて臨機応変に研究費を遂行した。そのため、当初の研究費使用見込み額と実際の執行額が異なったが、研究計画そのものには変更はなく、前年度の研究費も含めて計画を推進していく。
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