低温・高圧下で動作する走査トンネル顕微鏡(STM)を開発した。これとあわせ強相関電子系のひとつである有機導体をSTM観察し、その電子状態について調べ、電子-電子相互作用のうちの長距離クーロン力の果たす役割について議論した。 低温で電荷秩序状態を取りやすいalpha型のドナー配列を持つ3つの有機導体をSTM観察を行い、その共通の性質として、基底状態によらず高温で電荷不均化が生じるという新しい知見を得た。また、ストライプ構造をとる電荷不均化パターンはバンド構造の異方性により変化することを見出した。本研究で得られた知見は、強相関電子系の特徴のひとつである電荷秩序の発現機構の解明に寄与する。
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