研究課題
本研究は、単色連続テラヘルツ波光源によるイメージング技術を利用した高精度のテラヘルツ帯光吸収係数計測技術を提案し、精密物性研究へ応用することを目的とした。研究期間内に、国際会議のプロシーディングを含め論文発表19件、学会発表32件、特許出願1件を行った。論文と学会発表の内各1件は本研究課題の直接的成果であり、高温超伝導体テラヘルツ波発振素子を光源として上記技術を用いて、サブテラヘルツ周波数帯での水およびエタノールの光吸収係数を高精度に測定した結果と、Na2CO3水溶液のサブテラヘルツ波吸収係数を溶解度曲線と比較した結果を報告した。学会発表の内1件では高温超伝導体テラヘルツ波発振素子を窒素沸点以上の80Kまで動作させることに成功したことを報告した。17件の論文と30件の学会発表は発振素子の動作理解とイメージング応用に関係したものである。特許出願は、単色連続テラヘルツ波光源によるテラヘルツ帯光吸収係数計測技術に関するものであり、本研究課題の直接的成果である。高温超伝導体テラヘルツ波発振素子を用いた光吸収計測系については、光学系、試料セルと電気信号処理系の改良によって、0.5THz付近のサブテラヘルツ帯での水の光吸収係数を有効数字2.5桁の測定精度で計測できるまでに、また、試料の温度を5℃~60℃の範囲で制御できるようになった。この計測系を用いてNa2CO3水溶液のサブテラヘルツ波吸収係数を測定し、溶解分子のイオン化、水和現象と溶解度の関係を水分子の振動吸収の観測から研究した。今後追加実験を行い研究成果を論文発表する予定である。また、高温超伝導体テラヘルツ波発振素子を液体窒素冷却で発振させることに成功し、購入した室温動作の小型ショットキーバリアダイオード検出器を使い液体ヘリウムフリーな光源&検出系が可能になった(論文準備中)。小型軽量でポータブルな計測系の構築に道が開けた。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (13件)
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