本研究では局所的なスピン状態の励起が、比較的電気抵抗率の高い有機物質においてもスピン伝導を研究する上でのスピン流源になり得るかどうか、またスピン流がどの程度の距離伝搬するかを研究した。第一段階として強磁性体にパーマロイ(Py)、有機物に導電性高分子(PEDOT:PSS)を用いて強磁性/有機物接合を作成し、Pyを強磁性共鳴によって励起してスピン流を生成する手法(スピンポンピング)に着目して実験を行った。スピン流の検出はPEDOT:PSS膜の反対側に配置した白金(Pt)の逆スピンホール効果を測定する事で行った。その結果、PEDOT:PSSの室温でのスピン拡散長として140nm程度の値を得た。
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