研究課題/領域番号 |
24654101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮川 和也 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90302760)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ディラック電子系 / 電荷秩序 / 有機導体 / 圧力 / 電子相関 |
研究実績の概要 |
電子相関によって絶縁化する電荷秩序絶縁相と高圧下で出現するディラック電子相の境界領域を主に13C 核磁気共鳴(NMR)測定によって調べた。 高圧のディラック電子相ではスピン-格子緩和時間は低温で温度の三乗に従う依存性を示すのに対して、この境界領域でのディラック電子相ではそれよりも急激な温度依存性(ただし指数関数型ではない)を示すことを見出した。 線形のバンド分散下でスピン格子緩和率(1/(T1T))が状態密度の温度平均の二乗に従うという単純なモデルでは1/T1は温度の三乗に従うことが期待される。 この領域においても緩和曲線は単一指数関数であり、NMRスペクトルから電荷秩序相とディラック電子相の混在は観測されなかった。 加えて前年度までの測定によって電気抵抗測定でもこの領域付近では温度依存性の変化が観測されている。 これらのことから、境界領域で観測された1/T1の温度依存性は理論的に指摘されているディラック液体の可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題では輸送現象と磁気共鳴測定の両方を駆使してディラック電子系物理の解明を目指しているが、観測されたスピン-格子緩和時間の温度依存性はこれまでの単純なモデルでは説明できない特異なものであり、ディラック液体の可能性を指摘できた。
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今後の研究の推進方策 |
NMR測定をより高圧の領域まで拡張し、スピン-格子緩和時間の温度依存性が急峻なものから、どのように温度の三乗へと移り変わっていくのかを調べ、明らかにする。 さらにこれらの結果を学会などで発表し成果のとりまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ディラック電子相と電荷秩序絶縁相の境界領域でのNMR、輸送現象の振る舞いは単純なモデルでは説明できない予想外の結果が得られたためより詳細に圧力、温度依存性を調べる必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験をより高圧領域まで進める。 その研究成果をとりまとめ、学会での発表を行い、国内外の研究者と議論と最終的に論文にまとめる。 このための旅費として主に使用する。
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