核磁気共鳴分光(NMR)法は、物性研究においてミクロなプローブとして広範に用いられている強力な研究ツールである。このNMR法と、申請者らのグループが現在開発しているマイクロSQUID素子(μmサイズの超伝導量子干渉素子)を組み合わせた、新たなμSQUIDNMR法を開発・確立することが本研究課題の目標である。本年度では、マイクロSQUID-NMR法の試験を初めて行った。試料は、昨年度までに標準試料として用いているサファイア試料である。マイクロSQUIDをマウントするための試料プローブの改良を行った後、測定を行ったが、SQUIDの断線などの影響により信号を観測することはできなかった。SQUIDの断線は今後解決しなければいけない課題である。それと並行して、検出感度の見直しを行ったところ、当初用いていた1μm×1μmの大きさのSQUIDループでは、S/Nを考慮した見積もりにより、測定がかなり困難であるということが判明した。そこで、SQUIDループをより大きなものを作製することにしている。また、マイクロSQUID素子測定技術の向上を目的として圧力下での挙動を調べることを行い、圧力セル内で磁化測定できることを確認した。今後の装置の開発に重要な知見であると考えている。その他に磁場中で、超伝導素子を駆動させる場合、ノイズの影響がどの程度あるかなどの、相補的な実験を約3T中の磁場で確認した。 上記結果の一部を、日本物理学会2014春季会で発表した。
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