熱力学を現象論的に定常状態へと拡張した「定常状態熱力学」の可能性が議論されている.熱力学が平衡状態を踏み越えて発展することは人類の自然観の深化にとって極めて大きな影響をもつと期待されるが,それには現実の物質による裏付けが必須である.本研究は,現実の物質を対象として平衡状態からのはずれの効果が顕著に表れる典型物質の探索を企図した. 定常熱流または定常ずり下での熱分析的な実験手法を検討し,定常熱流下における液晶相転移温度を測定する装置を試作した.現在までの所,定常状態熱力学を必要とするような実験結果は得られていない.
|