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2013 年度 実施状況報告書

スペクトル分解のベイズ理論とその展開

研究課題

研究課題/領域番号 24654118
研究機関東京大学

研究代表者

岡田 真人  東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90233345)

キーワード分光学 / コンピューティクス / スペクトル分解 / ベイズ推論 / モデル選択
研究概要

昨年度H24年度は,スペクトル分解に関して,光子の離散性によるノイズやバックグラウンドの自動分離を行なった.H25年度は,この実績に基づき,(1) スペクトル分解と,(2) 有効ハミルトニアンの自動設計について研究を行った.
(1) スペクトル分解のような階層的な構造を持つモデルでは,統計学で用いられているAICやBICに要請される漸近正規性が成立しないことが知られている.このようなモデルでは,ベイズ推定によりモデル選択が可能であるが,評価関数である自由エネルギーの算出には膨大な計算量を要する.そこで我々は,近年提案された自由エネルギーを近似する情報量規準WBICに注目した.本研究では,交換モンテカルロ法を用いて,自由エネルギーとWBICを比較することで,WBICの有効性を検証した.この結果は,より複雑なスペクトル分解を取り扱ったときの計算量の困難を回避する有効な知見である.
(2) 電子状態を計算する第一原理の結果から,有効ハミルトニアンをベイズ推論により自動設計する枠組を提案した.具体的には,スピン無秩序状態を示すことで知られるNiGa2S4三角格子系を取り上げた.三角格子系は幾何学的フラストレーションが起こる最も単純な二次元系として知られている.非制限ハートリー・フォック(UHF)近似による電子状態の数値計算データから,ベイズ推論を用いてIsingスピン系の交換相互作用を決定した.その結果,これまで支配的であることが知られていた第三近接の交換相互作用だけでなく,最近接と第二近接の交換相互作用も考慮すべきであると推定された.この結果は,UFC近似だけでなく,第一原理バンド計算や分子動力学計算の結果から,有効モデルを抽出する枠組に対する有効な知見である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

申請書に記載した研究計画は全て完了した上で,当初予定していなかった,WBICとの有効性評価や,NiGa2S4の有効ハミルトニアンの取り扱い等,研究の今後の発展に重要な知見を得たため.

今後の研究の推進方策

スペクトル分解については,緩和過程等の動的な性質を取り扱えるように枠組を拡張する.有効モデルの導出に関しては,合金の第一原理バンド計算や分子動力学計算を取り扱う予定である.

次年度の研究費の使用計画

当初計画を遂行するために計算機を計上していたが,現有の計算機資源で当初計画を完遂することができたために,翌年度以降に計上した.
当初予定してなかった課題を行う為の計算機を計上する.また,得られた成果を広く発表する為の国内・国外旅費を計上する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] A numerical analysis of learning coefficient in radial basis function network2013

    • 著者名/発表者名
      Satoru Tokuda, Kenji Nagata and Masato Okada
    • 雑誌名

      IPSJ Transactions on Mathematical Modeling and Its Applications

      巻: 6 ページ: 117-123

    • 査読あり
  • [学会発表] ベイズ統計による三角格子スピン系NiGa2S4のモデル選択2014

    • 著者名/発表者名
      竹中光,永田賢二,溝川貴司,岡田真人
    • 学会等名
      日本物理学会第69回年次大会
    • 発表場所
      東海大学,神奈川県,日本
    • 年月日
      20140328-20140328
  • [学会発表] ベイズ統計による三角格子スピン系NiGa2S4のモデル選択2014

    • 著者名/発表者名
      竹中光,永田賢二,溝川貴司,岡田真人
    • 学会等名
      電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会
    • 発表場所
      玉川大学,東京都,日本
    • 年月日
      20140317-20140318
  • [学会発表] 交換モンテカルロ法を用いた情報量規準WBICの計算機実験による検証2014

    • 著者名/発表者名
      徳田悟,永田賢二,渡辺澄夫,岡田真人
    • 学会等名
      電子情報通信学会ニューロコンピューティング研究会
    • 発表場所
      玉川大学,東京都,日本
    • 年月日
      20140317-20140318

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公開日: 2015-05-28  

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