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2012 年度 実施状況報告書

過冷却液体における縦波と横波の伝搬速度のシミュレーションによる観測

研究課題

研究課題/領域番号 24654126
研究機関愛知工業大学

研究代表者

村中 正  愛知工業大学, 工学部, 准教授 (00267890)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード過冷却液体 / ガラス / 縦波 / 伝搬速度 / 協同運動 / 分子動力学シミュレーション
研究概要

2次元と3次元のモデルガラスや過冷却液体の温度領域の試料において、人工的に発生させた縦波の伝搬速度を観測した。その結果観測された縦波伝搬速度は、2次元では12~13σ/τであるのに対して、3次元では7~9σ/τであった。更に、2次元でも3次元でも同様に、試料の温度上昇に伴い、縦波伝搬速度が若干速くなった。
また、2次元の縦波の段階だけであるが、仙台で行われた国際会議 The 4th International Symposium on Slow Dynamics in Complex Systems で報告し、国際会議に伴うプロシーディングの論文 The difference between the longitudinal wave velocity and the propagation velocity of a cooperative motion in a model supercooled liquid も掲載された。
一方、協同運動は分子動力学シミュレーションを行うサンプルの中で自然に発生していて、その伝搬速度を求めると、2次元では3σ/τぐらいとなるのに対して、3次元では2σ/τぐらいであった。更に、2次元でも3次元でも同様に温度上昇に伴い協同運動の伝搬速度は遅くなった。
縦波と協同運動の伝搬速度の定性的な温度依存性は真逆になったが、協同運動の伝搬速度は、それぞれの次元で縦波伝搬速度の4分の1ぐらいであり、何らかの関連性はあるのではないかと思わせるものであった。
横波のみの発生と観測については、現時点で成功していない。というのも、横波を発生させようと、y軸方向に原子を動かしても、x軸方向に縦波と同じ速度の波が発生し、縦波が伝わってしまっていることが分かったためである。つまり、1回の振動だけでは縦波による変位の方が大きく、横波が分離観測できないことが分かった。

現在までの達成度
現在までの達成度

3: やや遅れている

理由

2次元と3次元のモデルガラスや過冷却液体の中の縦波の伝搬速度は観測できたし、その温度依存性も現実的なガラスと同様、温度上昇に伴い若干速くなることが分かった。また、仙台で行われた国際会議 The 4th International Symposium on Slow Dynamics in Complex Systems にも参加して、題名 The difference between the longitudinal wave velocity and the propagation velocity of a cooperative motion in a model supercooled liquid にてポスター発表し、同一題名の論文をプロシーディングスに発表できた。
しかし、横波を発生させることが、予想以上に難しく、どうしても縦波が発生してしまい、横波の発生を観測することがこれまでのところできていない。そのため、横波を発生させたときに、同時に発生する縦波を消し去る方法を今年中に開発して、横波だけをシステム中に伝搬させることに成功したい。
また、前述の論文を否定することにつながりかねないが、縦波の伝搬速度は観測できたものの、縦波を発生させる際の力の大きさにより微妙に伝搬速度が変化することも分かった。そのため、縦波を発生させる力を極限まで小さくするべきだと気付き、余計な波を消し去る方法を開発後に、縦波を発生させた場所近傍の粒子がどうしてもザワザワして活発に動くのを消し去り、極限まで波発生のための力を小さくして縦波を再度観測し、これが本来の縦波の伝搬速度という値を模索してみたい。

今後の研究の推進方策

次年度、ヨーロッパで開催される適切なガラスの国際会議が見あたらず、国内で開催される日本物理学会での報告や、今後投稿する雑誌での報告に換えたい。幾つか気になる国際会議はあったものの、開催期間がちょうど7月中旬から8月上旬の定期試験や成績報告の期間や学内業務の佳境となる時期であったりするため、ヨーロッパでの国際会議には行けないと判断した。
今年度の最後に購入したPCのCPUであるAMDのFX-8350(8コア、クロック周波数4GHz)に4本のジョブで計算をさせれば、かなり高速に計算してくれることが分かったため、このCPUを使ったPCを合計4台追加導入し、それらにより3次元の複数温度での分子動力学シミュレーションの計算を順次進めたい。
また、波を消し去る方法が開発できた暁には、波の発生源となる原子の複数回の横方向の振動をシステムに導入した後に、横波よりも高速であると考えられる縦波を消し去り、なんとか横波の観測ができないか確認してみたい。複数回の振動と波の消し去り方法を幾つか組み合わせて計算させたいため、計算能力が高ければ高いほどありがたい。
更に、時間的に余裕があれば、過去の論文や書籍を探して、理論式からフォノンや音波の音速を計算してみて、分子動力学シミュレーションから得られた(実験的に求められた)縦波や横波の音速と比較してみたい。

次年度の研究費の使用計画

次年度、ヨーロッパで開催される適切なガラスの国際会議が見あたらず、最終年次での国際会議での報告を、今年度仙台で行った国際会議 The 4th International Symposium on Slow Dynamics in Complex Systems での報告、そのプロシーディングス The difference between the longitudinal wave velocity and the propagation velocity of a cooperative motion in a model supercooled liquid の発表とその別刷と、国内で行う日本物理学会での報告と、今後投稿する雑誌への投稿論文に換えたい。
今年度の最後に購入したPCのCPUであるAMDのFX-8350(8コア、クロック周波数4GHz)に4本のジョブで計算をさせれば、かなり高速に計算してくれることが分かったため、このCPUを使ったPCを合計4台追加購入し、それらから出てくるデータの保存のためのBlu-Rayメディアの追加購入して、今後必要になる計算能力の拡充や、データのバックアップ費用に研究費を充てたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The difference between the longitudinal wave velocity and the propagation velocity of a cooperative motion in a model supercooled liquid2013

    • 著者名/発表者名
      村中正、松井淳、樋渡保秋
    • 雑誌名

      4th International Symposium on Slow Dynamics in Complex Systems AIP Conf. Proc

      巻: 1518 ページ: 772-775

    • DOI

      10.1063/1.4794677

    • 査読あり
  • [学会発表] 3次元モデルガラスにおける協同運動の伝搬速度2013

    • 著者名/発表者名
      村中正、松井淳、樋渡保秋
    • 学会等名
      日本物理学会第68回年次大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      20130326-20130329
  • [学会発表] The difference between the longitudinal wave velocity and the propagation velocity of a cooperative motion in a model supercooled liquid2012

    • 著者名/発表者名
      村中正、松井淳、樋渡保秋
    • 学会等名
      4th International Symposium on Slow Dynamics in Complex Systems
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20121201-20121208
  • [学会発表] 3次元モデルガラスにおける縦波の速度の測定2012

    • 著者名/発表者名
      村中正、松井淳、樋渡保秋
    • 学会等名
      日本物理学会2012年秋季大会
    • 発表場所
      横浜国立大学
    • 年月日
      2012-09-21

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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