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2013 年度 実施状況報告書

GPUを用いた高速プラズマ粒子シミュレーション手法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24654127
研究機関名古屋大学

研究代表者

齊藤 慎司  名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60528165)

キーワードメニーコア演算 / プラズマ粒子シミュレーション / 運動論的プラズマ乱流
研究概要

本研究では、大量の計算コアを用いるメニーコア演算器であるGraphics Processing Unit(GPU)を用いたプラズマ粒子シミュレーション計算の高速化手法の開発に取り組んでいる。
本研究で用いているkeplerと呼ばれるGPUは2000以上のコアを有しておりそれらを同時に使い処理させることで大量の処理を短時間で実行させることが可能である。しかし、GPUに処理をさせるためにはPCI-Expressを介したデータ転送処理が必要であり、またGPU内にあるメモリもCPU内にあるそれより小容量(8GB程度)である。そのため大規模な演算を行うためにはGPUへのデータ転送手法が重要となる。そのため、使用メモリ量が多い手法である粒子シミュレーションに対してGPUは適用し難いというのが現状である。
この問題点の解決を目的とし、非同期でデータを転送させながら同時に演算を行う手法を開発し、粒子シミュレーション手法へ適用した。これによりGPU演算での1つのボトルネックと言われているデータ転送時間の隠蔽を実現している。この倍精度演算において、Xeon-E5系1コアの7-8倍程度の計算処理速度の向上が得られている。この手法を用いたシミュレーション計算を実行し、運動論的プラズマ乱流のイオン加速プロセスについて研究成果を得、これについて学会発表および論文投稿準備を行った。(論文は2014年4月1日にPhysics of Plasmasにおいて出版された。)
GPUの性質としてランダムアクセスや同じメモリ領域へのアクセスがCPUに比べて低速でああり、この部分のチューニングが十分に行われていないため、さらなる効率化が現状実現されていない。今後はこの部分を解決する方法を模索するとともに、GPUを用いたコードによる研究成果の発展を狙う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究ではGPUが内蔵するメモリ量以上の計算をGPU上でCPUより効率的に計算する手法の開発を目的としている。これまで非同期データ転送手法において1つのボトルネックである転送時間の隠蔽は実現出来たものの、ランダムアクセスおよび同メモリ領域へのアクセスによる処理遅延の解決には現状まだ至っていない。このため研究期間を1年延長し、上記遅延要因の解決に挑戦するとともに、将来的にGPUを用いたプラズマ粒子シミュレーション計算の有効性について考察を行う。

今後の研究の推進方策

GPU演算のボトルネックの1つである、ランダムアクセスおよび同メモリ領域へのアクセスによる処理遅延の解決に取り組む。これまでの計算アルゴリズムを1から考え直し、上記アクセスを極力減らすような計算アルゴリズムの構築を行う。またこれと同時にGPUを用いた運動論的プラズマ乱流計算を行い、これに関する研究を発展させる。

次年度の研究費の使用計画

本研究ではGPUを大容量メモリ計算機に搭載し、GPUを用いた粒子シミュレーションコードの開発、演算高速化を行っている。このGPUを搭載した計算機が当初の予定より安価で購入することか出来たために現段階で未使用額が発生した。
本研究ではGPUを用いた粒子シミュレーション計算の開発・高速化に挑戦するとともに、これを用いて運動論的プラズマ乱流の研究発展に寄与することを目的としている。GPUを用いて演算高速化を実現したプラズマ粒子シミュレーションコードを用いていくつかの研究成果が得られており、これら成果を発表するための論文投稿料および学会・国際会議参加費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Perpendicular ion acceleration in whistler turbulence2014

    • 著者名/発表者名
      S.Saito and Y. Nariyuki
    • 雑誌名

      Physics of Plasmas

      巻: 21 ページ: 042303 1-6

    • DOI

      10.1063/1.4870757

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 太陽風中での運動論乱流の観測・シミュレーション研究の現状2014

    • 著者名/発表者名
      齊藤慎司
    • 学会等名
      平成24年度名古屋大学太陽地球環境研究所研究集会「プラズマ乱流の諸相」
    • 発表場所
      名古屋大学太陽地球環境研究所
    • 年月日
      20140212-20140212
    • 招待講演
  • [学会発表] 有限振幅whistler波動の非線形発展によるプラズマ加熱について2013

    • 著者名/発表者名
      齊藤慎司, 成行泰裕, 梅田隆行
    • 学会等名
      STEシミュレーション研究会&太陽地球惑星系科学(STP)シミュレーション・モデリング技法勉強会 合同集会 - 宇宙プラズマ・大気・天体 -
    • 発表場所
      福岡県博多市
    • 年月日
      20131224-20131227
  • [学会発表] Perpendicular ion heating by anisotropic whistler turbulence2013

    • 著者名/発表者名
      齊藤慎司, 成行泰裕
    • 学会等名
      AGU Fall Meeting 2013
    • 発表場所
      Sanfrancisco, USA
    • 年月日
      20131209-20131213
  • [学会発表] 有限振幅ホイッスラー波動の非線形発展によるプラズマ加熱2013

    • 著者名/発表者名
      齊藤慎司, 成行泰裕, 梅田隆行
    • 学会等名
      SGEPSS秋学会
    • 発表場所
      高知大学朝倉キャンパス
    • 年月日
      20131102-20131105
  • [学会発表] 運動論乱流における理論・シミュレーション研究の現状について2013

    • 著者名/発表者名
      齊藤慎司, 成行泰裕
    • 学会等名
      MMS研究会・境界層分科会
    • 発表場所
      湘南国際村センター
    • 年月日
      20131007-20131009
  • [学会発表] Perpendicular ion acceleration in forward cascading whistler turbulence from ion scale to electron scale2013

    • 著者名/発表者名
      齊藤慎司, 成行泰裕
    • 学会等名
      Asia-Pasific Radio Science Conference
    • 発表場所
      Taipei, Taiwan
    • 年月日
      20130903-20130907

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公開日: 2015-05-28  

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