本研究では、連続発振光の高速位相変調を基礎として、光共振器に頼らないパルス光源を開発を目的とする。特に、GHzからTHz帯の差周波励起光源を目指し、当該帯域に共鳴を持つ分子の物性制御を目的とする。 本計画では連続発振の半導体レーザーを調達し、スイッチ一つの予備動作無しでのレーザー発振を可能とした。この時、ピグテール付きのレーザーダイオードを採用し、光軸調整不要でシングルモードファイバーに導入されたレーザー光を利用できるようにした。 ファイバー位相変調器には、eospace社の位相変調器を採用しDCから40GHzまで連続的に変調できるようにした。これは現行のパルス繰り返し周波数としては最高の周波数と変化幅を有している。また、GHz帯域の局部発信機として、Vaunix社製のプログラマブルrfシグナル発生器を採用し、コンパクトで安価な基本光源システムを確立させた。 計画では注入同期による光増幅を予定していたが、ファイバー内の光を一度自由空間に取り出す際の損失が大きいことと光軸ずれによるメンテナンスの必要性から、テーパーファイバーアンプを用いる方式に切り替えた。これにより光ファイバー内で光の変調と増幅が完結し光源としての利便性は大幅に向上した。テーパーアンプはメーカー側の納入トラブルにより、平成25年度の後半まで導入を待たなければならなかったため、プロジェクトの高強度化に付随する部分は多くが未着手のまま残されてしまったが、用具だては整った状態にあるのでプロジェクト終了後に引き続き継続して実験を行う。 高周波変調器の市販化はなされているものの、それを観測する市販の周波数分析器は存在しない。このため、掃引ファブリペロー型周波数分析器の開発も行った。市販の分析器よりも1桁以上広い測定周波数範囲を持ち、回折格子型分光器よりも1桁以上高い周波数分解能を同時に実現することに成功した。
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