本研究の目標は,原子・分子集団からの二光子放射レートを人為的に増強し,二光子レーザー発振実現に向けた基礎研究を進めることである.研究の鍵を握るのは,原子・分子集団間の共同効果を利用した二光子放射レートの人為操作である.本研究では,1立方センチあたり10の20乗個の密度であるパラ水素分子に高いコヒーレンスを誘起することに成功した.また,このコヒーレンスを用いて二光子遷移レートを増強することに成功し,水素分子の振動励起状態からの二光子放出の観測に成功した.自然放出に比べた二光子放出レートの増幅率は10の18乗以上であり,二光子レーザー発振の実現に向けて研究が大きく進展した.
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