研究課題/領域番号 |
24654141
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
西村 太志 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40222187)
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研究分担者 |
田中 佐千子 独立行政法人防災科学技術研究所, 観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット, 任期付研究員 (30551535)
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キーワード | 地震波干渉法 / 潮汐 / 速度変化 / 歪み感度 |
研究概要 |
雑微動の相互相関解析(地震波干渉法)により、地震や火山活動に伴い地殻や地表浅部の地震波速度が数%増加あるいは減少することが世界各地で報告されている。この要因のひとつとして考えられている応力(歪み)変化による効果を、地球潮汐と地震波干渉法を利用した「その場」測定を実施し、地震波速度の応力(歪み)依存性を調べた。 岩手山東麓に短周期地震計7台からなる小アレー地震観測を2012年12月から2013年3月までの約4ヶ月間実施した。地球潮汐により繰り返し現れる地盤浅部の膨張・収縮を、GOTIC2による理論計算に基づき計算した。膨張期と収縮期の2つのそれぞれの期間に対して、7点の観測点から21点の観測点ペアをつくり、雑微動の相互相関関数(CCF)を求めた。解析周波数帯は1-2Hzとし、膨張期と収縮期のCCFの位相差から地震波速度変化量を推定した。その結果、収縮期に対して膨張期の地震波速度が0.18±0.05%減少していると見積もられた。この速度変化量から求めた歪み感度は6.9×10^4 /strainで、人工震源をもとに調べられてきた高周波帯における感度とほぼ同じであることが明らかとなった。さらに、CCFの±3秒以上のコーダ波部分に速度変化が見られないこと、F-K解析の結果が雑微動に実体波を十分含むことを示すことなどから、本研究で検知した地震波速度変化は、地下数キロメートルまでの地盤浅部の潮汐応答であると推察した。 さらに、東日本に展開されている防災科学技術研究所のHi-net観測点について、雑微動の自己相関関数解析を実施した。その結果、2-4Hz帯のラグタイム±1秒に、地球潮汐によると考えられる速度変化が大多数の観測点で検知された。 以上の解析から、雑微動の解析から、観測点下浅部構造の地震波速度の時間変化を明らかにする方法を提案することができた。
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