研究課題
2014年4月に発生したチリ地震(M8.2)により発生した津波を解析した。太平洋を横断する津波が深海底20観測点で記録された。長波津波シミュレーションに比べ、1分~17分の津波到達時刻の遅延が観測され、遅延は津波の伝播時間に比例していた。また遠地の観測点では津波初動が引きとなっていた。津波周波数解析では21分と15分に振幅ピークが現れ、それぞれが断層サイズ(縦60-70km、横40-45km)に対応していると考えられる。観測された太平洋域の最大波高の分布には有意な方位依存性や距離依存性は認められなかった。近地と遠地の津波波形を使う断層滑り分布インバージョンに新たな津波グリーン関数計算手法を適応した。遠地の波形では、海面変動加重による固体地球の弾性変形と圧縮性海水の密度変化と津波伝播に伴う質量移動が引き起す重力場の変化の影響を考慮した。これら効果を考慮した津波グリーン関数を用いると長波シミュレーションより遅れる波形が再現され、遠地津波波形を使った波形インバージョンが可能になった。遠地地震波形解析から求めた地震モーメント関数に似た結果が求まるまで、多重時間窓インバージョン法を繰り返し津波波形に適応した。津波波形と沿岸のGPS測量による地震時の変位量の同時解析も行った。主な断層滑り域は、仮定した断層滑り速度によらず、縦100km、横40km深さ28kmと求められた。滑り分布から求められる地震モーメントは 1.24x10^27 Nm, M8.0となった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)
Geophysical Research Letters
巻: 42 ページ: 1053-1060
10.1002/2014GL062604, 1053
Pure and Applied Geophysics
巻: 172 ページ: 719-730
10.1007/s00024-014-0983-8, 719