研究実績の概要 |
海底数千メートルにおいて,長期間ガンマ線スペクトル測定をおこなうために,「1.回路部分の電力消費量を現在の2.0Wから0.66Wの省電力する.2.間欠測定(例えば30分の内5分だけ動作させる)ができるようにして,省電力化する。3.安価なアルカリ電池を用い,予算的に多数回測定できるようにする.4.電池を使い切るとガスが発生し、電池用耐圧容器の内圧が高まり,安全性に問題がでるので,一定電圧(例えば6V)になると測定を終了させる.」仕様の深海用低消費電力型γ線記録装置の製作を試み,平成26年の1月下旬に完成させた。 平成26年度,海洋開発機構のNT14-07航海において,2014年4月24日,バクテリアマットを冷湧水域の指標として熊野灘沖の海底2600mの地点に,上記装置を組み込んだ海底設置型NaIガンマ線計測装置を設置した.NT14-13航海において,2014年8月4日,回収した.測定期間は3.5ヶ月間であった. 解析した結果,5月12日以後回収される8月3日までの期間は,海水中の換算U含有量(ラドン濃度)は,平均値0.19ppm,標準偏差0.07ppm,Th含有量は,平均値0.07ppm,標準偏差0.07ppm,K含有量は,平均値0.05w.t%,標準偏差0.01wt.%とほぼ一定の値を示し,大きな変化は見られなかった.この期間,海底で冷湧水の大きな変化はなかったと推定された. 2014年4月22日から8月4日の期間,設置位置から200 km以内,深さ50 km以内でマグニチュード4.1以下の地震が1067回起こっていた.地震による工学基盤上での最大速度(Peak Ground Velocity: PGV (cm/s))が,換算U含有量, Th, K含有量に変化を及ぼしているか調べたが,換算U含有量, Th, K含有量の時間変動とPGVの間に相関関係を見出すことはできなかった.
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