研究課題
研究代表者の発案によるGPSゾンデ観測の革新的手法である,多数のGPSゾンデ同時放球による海陸拡張型狭域移動観測を地上の多点観測点と海上の三重大学練習船を同時に用いることで得られた,時空間的に稠密な気象観測データにより,おろし風の立体構造の実態とそれが海洋へ及ぼす影響を把握することが目的である.本研究で提案する観測手法は,複数の気象要素を直接観測できるGPSゾンデを技巧的に用いるため,直接観測によるおろし風の鉛直・水平2次元構造の記述を可能とする.これは従来のおろし風の観測に無い特筆すべき特徴である.さらに地上のみならず海上での観測も行った.山脈の風上から風下そして海上へかけての包括的な大気の流れの把握を行うことができると予想されたが,洋上に船を配備した日には強風が吹かなかった.しかしながら,風上から風下そして洋上にかけての連続的なデータは取得ができた.鈴鹿おろしは,北西または西風の大規模風が卓越する際に発生する.海上観測は失敗に終わったが,陸上観測によって次に述べる結果が得られた.鈴鹿おろしとほぼ平行に観測ラインを設定し,上流から下流にかけての陸上の5地点で同時に上空の大気を直接観測した.観測時の大気の鉛直水平構造を断面的に記述することができ,ハイドローリックジャンプを呈する流れの様子が観測からとらえることに成功した.このようにおろし風の断面構造をラジオゾンデ直接観測によってとらえることができたのは,おそらく世界で初めての成果である.
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