研究課題/領域番号 |
24654157
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
笠原 禎也 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (50243051)
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研究分担者 |
後藤 由貴 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30361976)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 宇宙科学 / 計測工学 / 磁気圏・電離圏 / 情報通信工学 / 人工衛星 / 科学衛星 / 電波受信器 / 電磁感受耐性 |
研究概要 |
本研究課題は、科学衛星搭載用プラズマ波動観測器について、機上処理ソフトウェアによって衛星搭載器起源の雑音をデジタル的に除去する手法を確立し、人工衛星搭載品からプラズマ波動受信機に混入する雑音に対する耐性の高い高感度電磁界計測の実現を目指している。初年度は、以下に示す2つの項目について重点的に検討を行った。 1.既存衛星で取得したプラズマ波動データに混入した干渉ノイズ源の特定と除去・抑圧アルゴリズムを検討した。当研究グループが有する、あけぼの・かぐや衛星で取得した自然波動データに混入したノイズ源を特定・除去するために、衛星搭載の各機器の動作状態を示すステータスデータ(House Keeping Data)と波動観測データの相関解析を行い、ノイズ源が混入する機器ステータスを自動抽出するアルゴリズムを確立した。さらに同アルゴリズムで特定したノイズとステータスデータの相関関係を用いて、観測データからノイズを除去できることを実証した。また直交チャンネル間の標本化(A/D変換)タイミングの誤差を、計測データの統計的な位相ずれから厳密に補正し、自然波動の偏波特性を正確に求める手法も確立した。 2.将来衛星における高度自然波動計測の実現を目指して、有意な波動現象の自動認識と機上処理アルゴリズムへの応用について検討を行った。地球磁気圏内で観測される多種多様な波動現象について、その周波数・時間特性を定量化することで類似性を短時間で算出するアルゴリズムを考案し、あけぼの・かぐや衛星で得られたスペクトルデータに適用し、その有効性を実証した。 上記はいずれも既取得データに対する地上処理で実現しているが、比較的軽負荷な処理について、衛星でデータ取得直後の機上処理で実現できるよう、検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々が考案する雑音除去ならびに受信機特性の推定アルゴリズムが、既取得のデータに対して有効に活用できることを示すとともに、多種多様な自然プラズマ波動の自動認識や類似性の定量化の方法を確立するなど、研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、当グループが保有するあけぼの・かぐや衛星で取得した自然波動データを活用し、データ中に混入した電磁干渉ノイズを、周波数領域で推定し抑圧する雑音除去アルゴリズムを進めるとともに、時間領域で得た波形ノイズへの応用について、検討範囲を拡大する。またこれまでに得た知見を、機上処理で実現すべく、衛星搭載電磁波受信器のデジタル処理部を模擬する評価用デジタル基板を導入し、考案したアルゴリズムの実装と評価、特に実時間処理での実現性の可否について、検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
機上処理評価用のDSPもしくはFPGAの専用ボードを試作し、研究に用いる予定であったが、計算コストを考えず、アルゴリズム自身の有効性の検証するために、汎用のPCワークステーション(信号処理シミュレータ)による動作検証を行うことを優先的に実施した。このため、初年度に予定していた機上評価用のデジタル基板の導入は、今年度の成果を踏まえて次年度に実施することとした。それ以外の研究計画は特に変更なく、当初の計画に従って遂行することとする。
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