研究課題
初年度に採取した桜島安山岩質溶岩および北松浦玄武岩質溶岩試料について、岩石内部に存在する微生物に対応するために、従来のビーズ法に加えて、アルカリ法によるDNA抽出を行い、両者の群集構造を次世代シーケンサーMiSeqによる16S rRNA遺伝子解析により比較した。その結果、DNA抽出法による群集組成の違いはサンプル間の群集組成の違いに比べ遥かに小さいことが示され、岩石粒子に閉じ込めれた細胞はほぼ無視できるといえる。また、昨年度実施した群集解析の結果(微生物群とその個々の検出数)を統計解析した。主成分分析により、26の溶岩試料から得た825の微生物群から、34の主要微生物群の組み合わせとその強度を得た。34の固有ベクトルは合計68.1%の分散を説明し、そのうち、2%を超えるベクトルは11個あった。この構造は、微生物群の多様性が大きいことも示していると同時に、ある程度、主要な微生物群集が溶岩と微生物の関係を支配していることを示す。これらの結果を踏まえ、それぞれの試料における微生物群集の特徴として、比較的若く、かつ土壌化していない桜島の溶岩内部からは、鉄の酸化還元に関わる微生物および硝化微生物などの酸生成微生物系統群が見出されたが、噴出年代の古い北松浦溶岩試料からは硝化微生物系統群のみが検出された。さらに、これらの微生物系統群による金属の酸化還元や酸生成による岩石の溶解に関わる遺伝子探索の目的で、酸化還元微生物が検出された試料と酸生成微生物が検出された試料4試料について全ゲノムデータを取得した。
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA
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