研究課題/領域番号 |
24654161
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
増田 俊明 静岡大学, 理学部, 教授 (30126164)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 石英 / 超臨界水 / 超臨界水 / 点接触変形 / 圧痕 / 超微小硬度計 / 高速溶解 / レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
本研究は超臨界水発生装置を利用して、次の3つの目的を掲げて行っている:(1)水を超~亜臨界状態にすること、(2)超~亜臨界状態の水の中で点接触変形を起こすこと、(3)溶解量を適切に測定すること。このうちの(1)については、ほぼ目的を達成した。超臨界水発生装置とは,一種の圧力容器のことで、電気炉の中に置くことで温度を上げられるものである。電気炉と圧力容器の特製(熱伝導や体積)により、電気炉の設定温度と圧力容器の中に発生する温度に差が生じるので、単純に電気炉の設定温度を水の温度と認めることができない。そこで、電気炉の設定温度と圧力容器内の実際の温度を同時に測定する実験を繰り返すことにより、経験的に圧力容器内の温度をコントロールできるようになった。(2)については、亜臨界状態の中で石英に特製ルビー圧子を押しつけて溶解実験を1度行った。その試料には一度点接触変形を行った部分も含むようにした。すなわち、一つの石英試料で、3種類の溶解場所(①点接触変形を受けていない表面、②超微小硬度計で点接触変形を受けた表面で、亜臨界状態では点接触変形はしていない部分、③亜臨界状態で点接触変形を受けた表面)を設定した。亜臨界状態では点接触変形をしないも同時に調べられるようにした。その結果,溶解速度は、①→②→③の順で早くなっていることを確認した。なお、この実験で,圧子として使用したルビーも高速で溶解してしまったために、2度目の実験ができなくなった。(3)については、レーザー顕微鏡を駆使して、圧痕部の体積を測定し、一定の結果を得ることができた。②の状況での溶解速度は、圧痕を形成した最大荷重と規則的な関係があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画のうち、(1)の「水を超~亜臨界状態にすること」についてはほぼ確実に実現した。(2)の「超~亜臨界状態の水の中で点接触変形を起こすこと」については、まだ不十分である。行った実験は1回だけなので、再現性があるのかどうかはまだわからない状況である。ルビー圧子が高速で溶解するとは考えていなかったので、実験計画が甘かった、ということである。(3)の「溶解量を適切に測定すること」についてはほぼ確実に達成した。本研究では(2)がハイライトなので、全体として、まだまだ満足できる状況ではない。
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今後の研究の推進方策 |
亜~超臨界水の中で使う圧子の素材を変える必要がある。ルビーが不適切だったので、もっと堅い鉱物(例えばダイヤモンド)を使うという方法もあるが、超鋼(タングステンカーバイド)に期待する,という案もある。ダイヤモンドは心理的に使いにくい。ダイヤモンドでそれなりのサイズの圧子を作るのには高額が必要となるし、万が一溶解してしまったら損失が大きい。モワッサナイトという鉱物も候補であるが、これも高額である。廉価で硬い鉱物としてトパーズやコランダムもある。従って、いちばん廉価な超鋼でとりあえずこの実験を続けようと考えている。その後にトパーズやコランダムを試す。それでも不十分だった場合にはモワッサナイトやダイヤモンドを視野に入れて考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当無し
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