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2012 年度 実施状況報告書

SQUIDグラジオメータによる氷床コア中の火山灰の非破壊検出

研究課題

研究課題/領域番号 24654166
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

小田 啓邦  独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (90356725)

研究分担者 河合 淳  金沢工業大学, 先端電子技術応用研究所, 教授 (10468978)
菅沼 悠介  国立極地研究所, 教育研究系, 助教 (70431898)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードSQUIDグラジオメータ / 氷床コア / 火山灰 / 非破壊測定 / 南極 / 残留磁化 / 人工磁化
研究概要

桜島で採取された2008年噴火の火山灰(宮城ほか,2008)および北海道で採取されたAso4火山灰(噴出年代8.5-9万年)を用いて人工的に作成した氷床コアを模した試料についての予察的結果を得た。金沢工業大学では医療用脳磁計システムのためのSQUIDグラジオメータの開発を行い、脳の微弱な磁場を検出するために感度の向上につとめてきた (Kawai et al., 2008)。グラジオメータは試料直上と離れたところに2つのピックアップコイルを配置することによって磁気ノイズの影響を受けにくいというメリットがある。桜島で採取された2008年噴火の火山灰を磁性鉱物の含有量が多い火山灰の例として、北海道で採取されたAso4火山灰を磁性鉱物の含有量が少ない火山灰の例として、これらを人工的に作成した氷の間に挟んで火山灰層を模したものを用意してSQUIDグラジオメータにて測定を行った。結果は火山灰をゼラチンと混ぜて地球磁場中で自然に凍らせたものはいずれの試料も検出が困難であるが、その試料をネオジム磁石で後から磁化させた場合は検出可能であることがわかった。センサを氷表面に近づけることにより感度が大幅に向上することもわかった。さらに,寒天に火山灰を混ぜた模擬試料を用いた試料の非破壊検出に成功した.火山灰試料は,Aso4火山灰,桜島火山灰の他に米国で採取された磁性鉱物の粒径が揃っているTiva Canyon Tuff(TCT)試料を用いた.それぞれ5mgあるいは50mgの火山灰を200ccの寒天溶液で薄めたものを地球磁場中で固めた試料を用いたが,自然状態の試料は50mgの桜島火山灰とTCTが検出可能であった.電磁石によって25mTの等温残留磁化を着磁させた試料についてはAso4火山灰以外は十分に検出できた.Aso4火山灰は検出限界に近いが,測定ノイズを減らすことで安定的に検出できると思われる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

金沢工業大学で2回の実験を行い,人工試料に含まれる火山灰の検出に成功した.氷試料のハンドリングの改善およびノイズ低減が必要なことが判明したので,この点について改良を進めている.国内の液体ヘリウム供給の状況が思わしくないので,若干実験が遅れ気味である.実際の氷床コア試料(みずほコア)の測定は貴重な試料を使うことになるので,次年度に準備を整えて行うこととした.ドームフジの氷床コア試料は極めて貴重であり現段階ではリスクが大きすぎるので,本研究課題の次のステージとして検討を進めることとなった.

今後の研究の推進方策

研究協力者に南極の裸氷地域で採取された氷の中に含まれる火山灰を提供いただくことができたので,この試料を用いた実験を行う予定である.コアの移動機構の発生ノイズが大きく位置決め精度が低いので,既存の帯磁率測定用試料移動装置を流用することで改善を試みる予定である.また,SQUIDグラジオメータに発生する信号をモデル化するために氷床コア試料に分布する磁気ダイポールの積分計算ソフトウェアの開発を行う.実際の氷床コア試料(みずほコア)の分析は国立極地研究所との共同研究として低温室を使用した実験を行う.国内の液体ヘリウム供給事情が改善するのを待って速やかに実験が行えるように準備を整える.

次年度の研究費の使用計画

SQUIDグラジオメータ稼働のための液体ヘリウム代の追加分として25万円程度使用の予定である.国内の液体ヘリウム供給事情が悪いので,今後に備えて多めに確保することとした.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 氷床コアに含まれる微量火山灰の磁気的手法による非破壊検出の可能性2012

    • 著者名/発表者名
      小田啓邦、宮城磯治、河合淳、菅沼悠介、船木實
    • 学会等名
      第3回極域科学シンポジウム/第35回極域気水圏シンポジウム
    • 発表場所
      国立極地研究所(東京都)
    • 年月日
      20121129-20121129

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公開日: 2014-07-24  

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