研究概要 |
2011年3月の原発事故は大きな衝撃を与え、鉱物学の立場からCs環境汚染にかかわる問題にとりくんだ。鉱物としての粘土鉱物、有機物、さらに微生物ー鉱物相互作用の視点からバクテリアによるCs挙動を扱った。このなかで、、粘土鉱物への吸着、有機物への吸着と溶脱実験、微生物への吸収などを実験的にデータをあつめ、さらに電顕観察で検討した。この結果、わかったことは、ゼオライト、粘土鉱物各種、有機物による吸収比較では、10ppm濃度では、zeolite(1g)で98%以上の高い吸収率,clay mineral (1g)で最大55%、Leaf sample (5g)で、最大60%を示す。1%濃度でもゼオライトで94%以上の吸収を示すが、粘土鉱物では最大15%程度になる。植物のDead & green leaves で最大11%、わずかに吸収する。1:1型より、2;1型粘土鉱物、eに強く吸着した。1%Cs溶液を吸収したMontmorilloniteの層格子を高分解能電顕とEDS分析で組成分析を行い観察しえた。溶出特性は粘土鉱物については多くの溶出実験があり(e.g., Hou et al.,2003)、今回、植物による溶出実験を行った。結果は、例えばcherry tree で100-70%程度に大半が溶出、Dead & green leavesでは大差ない挙動を示す。pine,cherryを比較し吸着構造に違いが推定された。バクテリアによる顆粒状のCs-P(リン酸?)化合物をつくることがわかった。これらの結果にもとづきCsの移動モデル図で再循環、拡散・濃集が進行する様子を考察した。これらは除染への示唆にもなる。以上の結果は、Physics and Chemistry of the Earth 誌(Elsevier) に投稿、間もなく受理となる見込みである。
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