研究課題
セシウムの環境中での再循環過程の詳細について、環境中の構成要素は大区分として、無機固体物質、岩石、鉱物、有機質物質、植物、動物、微生物がある。土壌へのセシウム吸着特性はよく知られ、また年月がたっても深くは浸透しないことが知られている。粘土鉱物が最重要なものとしてあり、これに強くセシウムが吸着されるためである。粘土鉱物種の2大区分、2:1型と1:1型、それぞれについて実験的に検討した。結果は、2:1型、バーミキュライトやスメクタイトにより強い吸着特性があるとわかった。また土壌中有機質物質も一定の役割を果たす。有機物の一例として様々な枯葉を使っての吸着実験、溶脱実験を行い、これを確認した。今回特に解明したことは、土壌中バクテリアにセシウムが吸収されることである。吸収のしかたは、バクテリア体内の顆粒に特に濃集される例と体内全体に濃集する例があった。全体として顆粒をつくるものの方が強い濃集と推定された(1%濃度の水溶液から顆粒では30%以上のセシウム濃度)。このことは、最初に天然の、飯舘村で採取したバクテリアで、非放射性セシウムを使っての実験のあと、バクテリア種の確定したものによる実験でも確認した。このことの再循環過程の中での意味と意義を特に深く考察した。つまり、環境中再循環過程でのバクテリアの大きな役割を示していると推定される。バクテリア自身の重量的な構成成分は大きくはないものの、その動態・移動に寄与する意味は、これまで考えられてきた以上に大きいものがある。初期段階の結果は、Physics and Chemistry of the Earth誌に Akai et al.(2013) で報告、さらにその後の考察部分と、より平易な形での普及の著作として、赤井純治(2014)「地球を見つめる「平和学」---「石の科学」から見えるもの」(新日本出版社)の一部に記して、出版した。
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Physics and Chemistry of the Earth
巻: 58 ページ: 57-67