ウランの自発核分裂によって鉱物中に残される傷(フィッショントラック,以後FT)は,放射年代測定に利用されている。しかし傷の数が多くなると傷が重なり合って観察ができなくなり,1億年より古い試料の場合は技術的に困難である。そこで原子間力顕微鏡(AFM)を利用する新たなフィッショントラックの観察法を開発した。試料の研磨法や,AFMによる画像の取得法を吟味・確立し,実践試料の年代決定を試み概ね成功した。しかし10億年より古い試料ではエッチングを弱く行う必要があり,その際はFTとそれ以外の傷の区別がつきにくくなるという問題があり,AFM観察によっても測定年代値に上限があった。
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