水素分子の吸着・脱離に関する研究は、金属間化合物への吸蔵・放出という金属材料分野での研究が主となっている。本研究では、ナノ物質であるフラーレンおよび水素化フラーレンに注目した。高温高圧水素流体中で水素が吸着することによる水素化フラーレンが生成する過程、およびアルゴン流体化で水素の脱離する過程を追跡した。その結果、水素化フラーレンは吸着過程ではなく、溶解再析出により生成することが観察された。さらに、セレンディピティな結果として、水素化フラーレンは高温アルゴン中で、速やかに融解し、カーボンナノボール(CNB)を生成することが明らかとなった。CNBは導電性ナノベアリング等の応用が期待される。
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