研究概要 |
隕石中の難揮発性包有物(Ca-Al-rich Inclusion, CAI)は,太陽系で最も古い年代を示す岩石である.中でも結晶サイズの小さい細粒C AIは,原始太陽系星雲ガスから直接凝縮し,ある種の粗粒CAIの前駆体であったと考えられており,ほぼ全てが16Oに富む同位体異常を持つ.しかし,細粒CAIはミクロンオーダー以下の元素組成が大きく異なる鉱物が複雑に入り組んだノジュールを形成しており,鉱物アイソクロンを得るのは困難である.さらに,各鉱物のサイズが小さいために変質を受けやすく,隙間に二次変質鉱物が多く存在することが事態を一層複雑にしている.本研究では,革新的な新開発イオンイメージセンサを用いて,投影型同位体イメージングにより細粒な難揮発性包有物(CAI)のAl-Mg年代を鉱物アイソクロンから求めることを目的としている. 本年度は以下を実施した. (1)ターゲットとする粗粒CAI,細粒CAIを電界放出型電子顕微鏡により観察し元素マップを取得した.(2)FPGAモジュールを購入し,新型イメージセンサ制御ユニットへ組み込んだ.(3)追加モジュール用ソフトウェアを開発し,新型イメージセンサを用いて読み出し速度150枚/秒でイメージを取得する事に成功した.(4)質量分析装置にイメージセンサを設置し,イオンの検出を行った.(5)旧型イメージセンサを用いて粗粒CAIの24Mg, 25Mg, 26Mg, 27Alイメージを取得した.
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