研究概要 |
三陸沖日本海溝の海側、太平洋プレート上でのプチスポット火山の活動年代分布を詳細に求めるために、採取された溶岩のArAr年代測定およびU-Pb年代測定を行った。Hirano et al.(2001; 2006; 2008)で既に求められている噴出年代は、0~8.53 Maの中で様々な噴出年代が報告されている。一方、今回新たに求められたArAr年代(Machida, Hirano et al., 準備中)では、3.8±0.2、6.2±0.2、9.2±0.3 Maが得られた。これは、北西太平洋に無数に散在するプチスポット海底火山が9百万年以上前にもさかのぼり、火山の発生頻度がまばらで、地理的な偏りも見られないという結論に収束する事を示し、定常的なプレートの屈曲による下部リソスフェア~アセノスフェアにかけてのメルトの集積・上昇が原因である可能性が更に高まった。ArAr年代測定は東京大学地殻化学実験施設、東京大学アイソトープ総合センター、東北大学金属材料研究所らの協力で進められた。一方、U-Pb年代測定はプチスポット火山が発見されている海域の中でも0.05~1 Maに活動したと予想されている火山がある最も沖合の東経150度付近の海域の岩石試料を中心に行った。この海域では噴出時の水冷破砕によって形成された火山ガラスが多いため、ArAr年代測定に適さない岩石試料が多い。まだ最終的な年代値の決定には至っていないが、比較的若い年代であると予測される。U-Pb年代測定は、株式会社京都フィッショントラック、京都大学理学部の協力で行った。 また、東北地方太平洋沖地震後の海底音響探査データから地震前のプチスポット火山の分布の違いを検索したが、特に大きな変化は今のところ見られていない。引き続き作業を進める。本成果は、2014年4月末に行われる日本地球惑星科学連合の大会で発表を行う。また、本海域の内容ではないが本研究と同じ手法を用いてチリ海溝沖の火山に関する学術論文Hirano et al. (2013)を発表した。
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