研究課題
1.星間物質中の主要な炭素源は一酸化炭素,窒素源はアンモニアである。そこで種々の混合比の一酸化炭素・アンモニア,もしくは一酸化炭素・アンモニア・水蒸気の混合気体に,タンデム加速器(東京工業大学)からの2.5 MeV 陽子線を照射し,生成物中のアミノ酸を定量した。生成物を加水分解すると,いずれの系でもアミノ酸が生成し,特にグリシンの生成量が多かった。前者では一酸化炭素:アンモニア比が2:1の時にグリシン(前駆体)が最も多く生成した。2.1.の生成物中のアミノ酸以外の生成物の分析を行った。LC/MSにより,一酸化炭素・アンモニア・水の混合気体から,ウラシル,アデニン,グアニンが同定された。また,MALDI質量分析法によりイミダゾールが検出された。これらは遊離体で生成したものが多いことが示唆された。3.星間での宇宙線照射により,高分子態のアミノ酸前駆体のほか,複素環化合物が生成することから,宇宙線(およびその二次粒子)により,多数のラジカルやイオンが生成し,それらの急冷により高分子態有機物や,安定な環状化合物が生成することがわかった。4.より高エネルギーの粒子線による有機物の生成を調べるため,KEK内にデジタル加速器を用いる準備を行い,また,低温実験のためのクライオスタットの整備を進めた。次年度にはこれらを用いた実験が開始できる見込みである。5.星間でのアミノ酸(前駆体)生成機構の解明のため,その場観測に加え,計算によるシミュレーションの可能性の検討を開始した。さらに,実際の宇宙環境を用いた有機物生成実験の可能性についても検討を開始した。
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α-Synodos
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