研究実績の概要 |
大気圧プラズマの発光を、申請者らが赤外天文観測装置として独自に開発したゲルマニウム・イマージョングレーティング中間赤外線冷却分光器(Germanium Immersion Grating Mid-Infrared Cryogenic Spectrograph, 以下GIGMICS)を用いて測定し、大気圧プラズマ中の活性領域の物理的、および化学的性質についての知見を得るための分光測定システムの設計と開発を行った。まず、既存のチャンバーのポンプ部を新型のターボ分子ポンプに交換し、プラズマ生成装置からのガスの噴出量に相応する真空能力を満たした。次にプラズマの背景を冷却可能な、発光を集光する機構をもつチャンバーおよびGIGMICSとチャンバーを接続する入射光導入部の製作を行った。大型の対向アルミニウムミラーをこのチャンバーの内部に固定した状態で、外部からの2つの光源(波長10μmの量子カスケードレーザーからの中間赤外光およびHe-Neレーザー光)をビームスプリッタにより同軸で混合し、チャンバーの背後から入射する光学系を構築した。これにより、GIGMICS専用の架台の調整機構を用いて光軸の調整が可能になった。また、対向アルミニウムミラーの冷却機構として、従来の液体窒素による冷却方式から、He循環型冷凍機を用いた冷凍方式への変更を行った。これにより、実験持続時間の制限がなく、かつ、安全な環境での実験が可能となった。
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