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2013 年度 実施状況報告書

高周波回転電磁界を用いた電磁プラズマ推進機の先進制御に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24654196
研究機関神戸大学

研究代表者

八坂 保能  神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30109037)

キーワードプラズマ / 宇宙推進
研究概要

ヘリカルアンテナが持つ双方向波動励起特性に注目し,従来は2個のアンテナを必要としていた所を,単一のアンテナでプラズマ生成と加熱の相対的制御を行うことを試みをている。アンテナから放射される電磁波の周方向モード数mは主として1であるが,伝搬方向によって符号が変化する。m = + 1ではプラズマ中に主として速波が伝搬し,m = -1励振では遅波が伝搬すること,速波は遅波に比べカットオフ周波数が高く高密度プラズマの生成に適しており,遅波を用いたイオンサイクロトロン共鳴加熱はイオンの加熱に効果的に作用する。
本研究では,実際にヘリカルアンテナを試作し,従来の高周波電力を上回る大出力励起装置を適用することで,単一アンテナによるプラズマの単独点火を実現した。アンテナへ印加する外部磁場の方向を選択してmの符号を変える実験を行い,磁場が-z方向(プラズマ上流方向) の際にアンテナ下流において,+z 方向の場合と比較して,より大きなイオン飽和電流が観測されたことから,アンテナ下流に右旋円偏波が励起されていることが確認された。また,磁場強度を調整することによって,イオン飽和電流の変化率を制御できることを示した。
ガス供給系にピエゾバルブを導入し,ガスパフ実験を行ない,ガスパルス幅30 ms,高周波印加遅延40 msにおいて,プラズマの単独点火を実現した。ピエゾバルブの導入前後でイオン飽和電流の磁場依存性測定を行なった結果,全ての磁場条件でイオン飽和電流が増大していることを確認した。
回転電磁界型アンテナの高周波電源として用いる2出力インバータについて,ソフトスイッチング回路を設計するとともに,2出力の干渉を軽減して位相差を設定通り維持できる回路を考案し,回路シミュレーションを行うことで特性を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初設定した研究項目は予定通り遂行されたが,実験装置に磁場を印加するための既設直流電源が一部不調になったため,実験回数が多少不足した。

今後の研究の推進方策

ヘリカルアンテナに対して外部磁場の方向を変化させて,ヘリコン波やイオンサイクロトロン波の伝搬特性を測定する。これにより双方向の励起波動のモードとの関係を明らかにし,選択的波動励起を実証する。
ヘリカルアンテナ直下の磁場強度の調整により,ヘリコン波プラズマ生成とイオンサイクロトロン波によるイオン加熱の比率が変化でき,電子・イオンに対するパワー吸収の能動的制御が可能なことを示す。
磁場発生用既設直流電源の不調対策と磁場調整の自由度を高めるため,当初の予定を変更して直流安定化電源を新規購入する予定である。
イオンサイクロトロン波によるイオン加熱は軸方向の磁場強度の不均一性が高い所で行われる。この場合,従来の線形理論による無衝突加熱のみでなく,磁場勾配によるイオンの軸方向加速効果や,波動電磁界ローレンツ力の非線形項に基づく動重力による加速効果が重畳されてプラズマの噴出エネルギーを増加させることが考えられる。この現象を,昨年に引き続き,測定と数値計算により究明する。

次年度の研究費の使用計画

アンテナ放射電磁界に関する研究調査のための旅費を予定していたが,文献により必要な情報が入手できたのでその分の経費が年度内で不要になった。
また、計測器の製作に関して,設計を一部変更することにより既存部品を使用することができるようになったため,電子回路部品と真空部品の消耗品費を節約することができた。
翌年度分請求額と合わせて,備品費と消耗品費に当てる計画である。すなわち,磁場発生用既設直流電源の不調対策と磁場調整の自由度を高めるため,直流安定化電源購入に備品費を使用する。また,直流安定化電源からの大電流電線,および実験において使用する各種高周波アンテナと真空フランジ類を調達するために消耗品費を使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Examination on Plasma Production and Ion Heating for Electric Propulsion Using a Single Helical Antenna2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Hayashi, R. Kinoshita, H. Wakabayashi, S. Nakamoto, H. Takeno, Y. Yasaka
    • 雑誌名

      Trans. Fusion Sci.Technol.

      巻: 63 ページ: 389-391

    • 査読あり
  • [学会発表] Studies on Plasma Production and Ion Heating Using High Frequency for Electric Propulsion2013

    • 著者名/発表者名
      R.Kinoshita, T. Hamano, Y. Hayashi, S. Nakamoto, Y. Yasaka, H. Takeno
    • 学会等名
      23rd International Toki Conference on Large-scale Simulation and Fusion
    • 発表場所
      Ceratopia Toki, Gifu
    • 年月日
      20131118-20131121
  • [学会発表] 単一アンテナによるプラズマの生 成と加熱に向けたプラズマスタートアップに関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      濱野剛,木下良佑,八坂保能,中本聡,竹野裕正
    • 学会等名
      電気関係学会関西支部連合大会
    • 発表場所
      大阪電気通信大学
    • 年月日
      20131116-20131117
  • [学会発表] Bi-directional excitation of ICRF waves in non-uniform plasmas towards a compact RF-driven magnetoplasma thruster2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Yasaka, Y. Hayashi, H. Takeno, S. Nakamoto, Y. Kinoshita
    • 学会等名
      31st Int'l. Conf. Phenomena in Ionized Gases
    • 発表場所
      Granada Congress Center, Spain
    • 年月日
      20130714-20130719

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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