研究課題
本年度は我々が海洋性細菌より発見した光駆動型ナトリウムポンプロドプシン、KR2について、さらに詳細な機能解析と分光学的手法を用いた構造研究を行った。その結果これまでナトリウムイオン(Na+)より大きなカチオンは輸送されないと考えられてきたが、様々にpHを変えた活性測定により、KCl溶液中では弱いながらカリウムイオン(K+)の輸送が行われている事が明らかとなった。またこの際にはK+と同時に高い水素イオン(H+)の輸送が見られ、K+とH+は競合的に輸送が行われている事が示された。また構造研究については低温フーリエ変換赤外分光法(FTIR)により、Na+輸送時とH+輸送時における光反応中間体について研究を行った。今回対象とした中間体は、光反応によってレチナールの異性化後に現れるK中間体についてである。そしてNa+輸送時とH+輸送時では、過去にフラッシュフォトリシスの研究から、光反応サイクルに大きな違いが見られた事から、初期中間体においてもロドプシンの構造に違いがあることを期待しFTIRによる構造解析を行った。そうしたところ予想に反し、Na+輸送時とH+輸送時におけるK中間体生成に伴う赤外吸収スペクトルの変化はほぼ同一であり、光反応に伴う初期中間体の構造変化は同一であることが明らかとなった。この結果は光反応直後においてKR2は輸送するカチオンに依存しない、共通の構造変化を起こし、その後の反応過程においてカチオンの選択がなされ得ることを示唆している。本結果はこれらの結果についてJ. Phys. Chem. B誌へ論文発表を行い、さらに招待講演(7件)を含む33件の学会発表で本研究において得られた成果を発表した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (33件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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http://researcher.nitech.ac.jp/html/14_ja.html