研究概要 |
初年度である24年度は、主に多核MRIを実現するためのシステムの開発を行った。まず、使用を予定している無冷媒超伝導マグネットにおける磁場の空間分布を測定するために、マイクロコイルNMRプローブを製作した。直径1mmのコイルを用いて、超小型のラジオ波共振回路を構成して直径3mmのロッドに装着した。これをさらに、自作の非磁性xyzステージに装着して、プロトンNMRの共鳴周波数の空間分布を測定した。これにより磁場の均一度を補正するための数値目標を得ることができた。 また、MRIで必要となる、x,y,z方向の傾斜磁場を生成するための3チャンネル電流ドライバを開発した。それぞれのチャンネルにはパワーオペアンプを使用して、定電流回路を構成した。大電流を安定に制御するために回路に試行錯誤を施した結果、30アンペアの電流を自在に制御することが可能となった。 さらに、これまでに開発したNMR分光計を改造してMRI分光計を製作した。具体的には、NMR分光計に3チャンネルの傾斜磁場波形生成機能を生成し、オペアンプ回路を通してオフセット・ゲインの調整を行うことができるようにした。ここから出力される信号を上述の電流ドライバで増幅することにより、x,y,z方向に自在に任意の形状の傾斜磁場パルス照射を行うことが出来るようになった。 傾斜磁場コイルを組み込んだMRIプローブを製作し、植物の茎や小魚のMRI撮像実験を行い、プロトンMRIの画像の取得に成功した。画像の感度や分解能を向上させるために、MRIプローブの改良を繰り返し行い、ノウハウを蓄積することができた。
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