研究課題
本課題において、核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging: MRI)を用いた元素分析の研究開発を行った。その最終目的は、生体や材料中に存在する様々な同位体の空間分布を定量的に測定することが出来るMRI法を確立して、生物学や医療、材料科学の発展に資することにあった。非破壊で測定が可能であるというMRIの長所を保ちつつ、かつ、生体や材料中の様々な元素の分布を定量的に可視化する手法を確立するために、ラジオ波周波数を固定し、磁場強度を幅広く掃引することにより、様々な同位体の核種の核磁気共鳴さらにはMRIを行うことを目指して研究開発を行った。まず、MRI実験装置の開発を行った。研究者がこれまでに開発してきたNMR分光計を改造して、3チャンネルの傾斜磁場波形生成機能を実装した。また、パワーオペアンプを用いた電流ドライバを自作し、上限30アンペアの電流を自在に制御できるようになった。この装置により、xyzの3方向に任意の形状の傾斜磁場パルス照射を行うことが可能となり、7テスラの固定磁場超伝導マグネットを用いて、小魚や植物の茎のMRI画像を取得することに成功した。所属研究室が保有する磁場可変型の超伝導マグネットにおける磁場の空間均一度を測定するために、マイクロコイルNMRプローブを製作した。直径0.4mmのコイルを用いて、超小型のラジオ波共振回路を構成して、これを自作の非磁性xyzステージに装着して、プロトンNMRの共鳴周波数の空間分布を測定した。その結果、広範囲の磁場すなわち広範囲のマグネット電流下において磁場均一度を向上させることが必須であることが判明した。不均一磁場を補正するために、常磁性の小片(シム)を用いるという新しい方法の着想を得て、これを実現するための研究を行った。常磁性シムによる可変磁場の均一度の自動補正実験をデモンストレーションした。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
IEEE Transaction on Applied Superconductivity
巻: 23 ページ: 4400904
10.1109/TASC.2013.2239342