研究課題/領域番号 |
24655018
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
配分区分 | 基金 |
研究分野 |
物理化学
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
波田 雅彦 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (20228480)
|
研究分担者 |
天能 精一郎 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (00270471)
中野 晴之 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90251363)
柳井 毅 分子科学研究所, 理論分子科学第一研究部門, 准教授 (00462200)
|
研究期間 (年度) |
2012
|
キーワード | 統合電子状態理論 / 密度行列繰り込み群 / 相対論的F12法 / 相対論的多配置SCF法 / モデル空間モンテカルロ法 / 多電子DKH法 / 多配置理論 / ランタノイド錯体 |
研究概要 |
本研究では、擬縮退、相対論、動的電子相関、の効果を取り込んだ精密かつコンパクトな真に有効な電子状態理論をめざした理論・計算方法を開発し、希土類を含む重原子擬縮退系、重原子を含む磁性体、電子材料等の物性予測、設計に資するための基礎的研究を実施した。天能は、重原子を含む分子の電子相関を高精度で取り扱うための四成分相対論的MP2-F12法の開発を行った。直接摂動論に基づく電子間の短距離での振る舞いを考慮し、運動バランスを満たす二電子基底を初めて多電子系に適用した。更に、電子相関の強い物質での擬縮重状態や励起状態を取り扱うための新しい量子モンテカルロ法を提案した。モデル空間での有効ハミルトニアンを確率的に求める手法を発展させ、これまでと全く異なる電子状態計算を可能にした。中野は、相対論的分子軌道法において、電子占有数を制限した複数の活性空間に対する多配置SCF法およびこれを基盤とした多参照摂動論を新たに開発し、磁性材料・電子発光材料のモデルともなる希土類元素錯体、遷移金属化合物の励起状態へと適用した。また、相対論的効果を高度に取り入れた手法を評価するため、負エネルギー軌道スピノールの効果について系統的な調査を実施した。波田は、多電子無限次Douglas-Kroll-Hess法と励起状態理論であるSAC-CI法を基礎にして、相対論と電子相関を含めた励起状態計算プログラムを作成し、金属化合物の磁気的物性の計算を実施した。 柳井は、重元素を含む分子系の電子状態の高精度な理論計算を実現するための非経験的密度行列繰り込み群法の開発を行った。その実証研究として、密度行列繰り込み群法を多核金属錯体へと応用する拡張的計算を実現し、実験での解釈が難しい金属酸化数に関する理論解析を与えることができた。また、重原子に現れるスピン軌道相互作用を取り入れる方法論を開発することに成功した。
|