吸収分光法は,分子の同定に有効である一方で単分子感度を実現することは困難である。本研究では,光照射領域をナノメートル空間に制限することで,吸光度を大きくし分子の吸収分光測定を実現することを提案した。光照射領域の制限法として開口型近接場プローブ内に発生する光場を利用することを提案し,これを自作して原理検証を行なった。本研究の結果,当初の予想通り照射領域の制限により吸収度の向上,つまり感度向上を実現し,微小なナノ物質の吸収スペクトル測定が可能となった。現状では,単一の分子の吸収分光測定を達成するには至っていないが,その実現に向けて研究を継続している。
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