研究課題/領域番号 |
24655022
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田中 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (30386643)
|
研究分担者 |
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
平 義隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60635803)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 化学物理 / 加速器 / テラヘルツ / 計測工学 / 物性実験 / キラリティ |
研究概要 |
本研究課題は近年飛躍的に進展するテラヘルツ領域における分光技術分野において、いまだ開発が進んでいない円二色性・光学活性のような円偏光を用いた分光手法の先駆的な構築を目的とするものである。上記計測手法の確立によって、特にセキュリティや医療・バイオテクノロジーなどの分野の発展に大きく寄与できる。本課題では加速器や発振器などの強力な光源、分光装置、回転位相子などの偏光素子、ロックインアンプなどの計測器から成る円二色性・光学活性の計測システムを構築する。これを用いて、強い強度を示す螺旋構造を持つ物質や重要性の高い模擬麻薬物質などを試料として世界初の計測に挑戦する。 本年度は前述の目的を達成するために、まずテラヘルツ領域において円偏光を制御させるシステムならびにその偏光度を計測するシステムの構築を行った。このシステムはテラヘルツ領域に対応した面内回転機構を有する直線偏光子、位相子で主に構成される。これらシステムは次年度に開発する円二色性・光学活性計測システムとほぼ類似の光学配置を有している。 本年度は上記システムの開発とともに、検出システムとしてショットキーダイオードならびにボックスカー積分器による高精度なパルス光強度計測システムを構築した。このシステムを用いて、直線偏光および円偏光の発生・制御とその偏光度の観測に成功した。なお上記実験では当所で整備しているSバンド小型加速器を光源として、コヒーレント遷移放射から発生される高強度テラヘルツ光を利用して研究を遂行した。また端緒の円二色性・光学活性計測試料の選定を進め、左巻・右巻水晶がその予測される強度の強さや取扱いの容易さから最も適していると決定した。 以上のように当初の研究実施計画に即した研究成果を得ることに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の基礎となるテラヘルツ領域における偏光制御・偏光計測システムの開発とそれによる直線・円偏光の発生と偏光度計測に成功しており、概ね順調に研究目的を達成しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度の成果を基とした円二色性・光学活性計測システムの開発と、水晶等の標準的な試料を用いた世界初のテラヘルツ領域における円二色性・光学活性を検出する。これらより本研究目的を達成させる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
24年度は試料選定など本研究の綿密な詳細設計を中心とした研究を行い、25年度には計測システム開発と実際の計測に集中的に予算を投資することで効率的な研究開発、及び成果発表を行うように努めた状況において次年度の研究費は生じたものである。次年度の研究費は計測試料の購入と当該試料に最適な波長のバンドパスフィルタ、位相子およびその高速回転機構の開発等に利用する。
|