研究課題/領域番号 |
24655022
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
田中 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (30386643)
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研究分担者 |
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
平 義隆 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (60635803)
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キーワード | 化学物理 / 加速器 / テラヘルツ / 計測工学 / 物性実験 / キラリティ |
研究概要 |
本研究課題は近年飛躍的に進展するテラヘルツ領域における分光技術分野において、いまだ開発が進んでいない光学活性や円二色性のような円偏光を用いた分光手法の先駆的な構築を目的とした。上記計測手法の確立によって、特にセキュリティや医療・バイオテクノロジーなどの分野の発展に大きく寄与できると期待される。 本年度は前年度に構築した偏光制御システムを基にして、テラヘルツ領域での光学活性計測装置をまず構築した。光学活性は左円偏光と右円偏光間での屈折率の差であるが、直線偏光が試料を透過した際の偏光面の回転角度によって計測されるのが一般的である。本年度は光学活性計測試料として水晶(長さ47㎜)を選択した。直線偏光子を回転させて、光源からのテラヘルツ光強度の回転角度変化を計測することで、偏光面の回転角度、すなわち光学活性を計測した。その結果約3°(約0.06°/mm)の偏光面の回転を観測した。現在再現性等の実験を進めている。この値は可視光領域の約20°/mmの値と比べて1/300程度であり、テラヘルツ領域での光学活性は可視光領域と比較して非常に弱いことが確認された。なお本実験で光源として用いた発振器は約0.1THzのテラヘルツ光を高強度で発生させるものである。本実験から計測精度をより向上させるためには、より高性能な直線偏光子などの光学素子が必須であると考えられる。また今後の光学活性・円二色性スペクトル計測のための、広帯域のテラヘルツ領域に対応した位相子の設計も行った。今後、本課題で得られた端緒の光学活性計測結果とシステム開発の知見を更に発展させて、より高精度の計測手法として確立させていく。
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