アキラルな化合物から外的不斉源を用いずに高い光学純度の生成物を得る新しい手法の開発に成功した。アキラルなクロモンカルボン酸エステルを溶液中で光照射すると,結晶性の良い二量体が光学活性体として得られた。生成機構を明らかにし,条件を精査することで80%eeの光学純度を達成した。さらに,得られた光学活性体を分子変換し,触媒的不斉合成の配位子として活用することに成功した。また,本手法を新たな不斉合成反応に展開し,2-ベンゾイル安息香酸誘導体とアミンとの反応により,高い光学純度のイソインドリノンの絶対不斉合成にも成功した。
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