ケイ素-金属二重結合錯体(シリレン錯体)については多数の報告があるが、ケイ素-金属三重結合錯体(シリリン錯体)の例は少なくその性質は良く分かっていない。本研究ではこれまでに例の無いカチオン性シリリン錯体の合成を目指し、その前駆体であるブロモシリレン錯体の合成に成功した。この錯体から臭化物イオンを引き抜くことでカチオン性錯体の合成を検討したが目的の錯体の発生を確認するには至らなかった。そこで、あらかじめカチオン性としたシリリン配位子の開発を検討したところ、ルイス塩基が配位した一価ケイ素カチオンの合成に成功し、このカチオン性配位子と金属錯体との反応によるカチオン性シリリン錯体の合成を検討中である。
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