研究課題/領域番号 |
24655030
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安田 誠 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40273601)
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キーワード | 共役系 / 非平面 / スルースペース / 電荷移動 / 発光 |
研究概要 |
非平面的に結合するビアリール化合物種の物性に関して、以下の結果を得た。 (1) 連結によるトポロジー評価 初年度に基本原理、ヘテロ原子の効果および置換基効果を明らかになり、それらを融合させたタイプの共役系拡張分子の合成を行った。ビアリール骨格を放射型にした連結分子を合成した。その結果、単純型よりも大幅に大きな長波長シフトが見られた。 (2) 塩基作用によるアニオン種の物性検討 活性プロトンを有するビアリール化合物は、塩基の作用により容易にアニオン体を発生できる。単純型ヒドロキシビアリール化合物に塩基をいれることで、大きな長波長シフトがみられた。これは、コンホーメーションが通常とは変化し、かつ芳香環との静電的安定化度合いが向上することが原因であると推察できる結果が得られた。 (3) 金属との連結型化合物への応用 上記(2)のチウム系塩基を用いたかご型リチウム複核錯体の合成を行った。X線結晶構造解析の結果、きわめてユニークな立体構造をしており、はじめて、六角柱型のリチウムアリーロキシ錯体が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的は(1) 連結によるトポロジー評価、2) 塩基作用によるアニオン種の物性検討、(3) 金属との連結型化合物への応用 である。 (2)と(3)に関してはほぼ計画通りの進展と合理的な結果を得ている。(1)に関しては多量体の合成過程で予期せぬ共役系化合物が生成し、解決に時間が必要であったが、この化合物自身も共役系をもつ興味深いものであり、本研究を少し違った視点で支えるものとなる可能性を示した。また、(3)において、世界で初めて六角柱型アリーロキシリチウム化合物を得たことは、アルコキシ化学における大きなステップと考えられ、他の構造体を合成することの指針をあたえるものである。 このような成果を総合して考えれると、本研究は現在おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
六角柱型アリーロキシリチウム化合物を容易に合成することができたので、そのアリール基に置換基を導入し、光物性のチューニングを行う。また用いる塩基により大きな発光波長変化をもたらすことができると考えらるので、それらを総合した新しい光物性を有する化合物群を構築する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
光物性型有機分子合成を実施していたところ、アリール基の連結反応実施の際、予期せぬ共役化合物が得られることを見いだした。この化合物は本研究のコンセプトを実証するきわめて重要な構造であり、たいへん興味深い事象である。その新しい置換体の調査を実施する必要が生じたため、未使用学が発生した。 有機金属試薬の合成や反応試薬および反応溶媒として使用する予定である。また、成果報告として学会での発表を予定しており、その参加費および旅費として使用する。
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