研究課題/領域番号 |
24655040
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山内 美穂 九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 准教授 (10372749)
|
キーワード | アンモニア / 光触媒 / ナノ合金 / 光水分解水素 |
研究概要 |
肥料の原料でありかつエネルギー媒体としても注目されるアンモニアは我々の生活を支える基軸物質である。本研究では、光水分解発生期水素を水素源とするクリーンなアンモニア合成システム(光・水・空気をつかったアンモニア合成システム)の構築を行う。これまでに、効率的な窒素の活性化を目指して、CuPdナノ合金やRuナノ粒子を光触媒に担持させた触媒を作製した。 本年度は、Ruナノ粒子担持酸化チタン上での光水分解により得られた水素と窒素分子からアンモニアの合成試験を行った。ガラス製の閉鎖循環装置に水に分散させたRuナノ粒子担持酸化チタン触媒を含む反応容器を取り付けた。また、犠牲試薬としてメタノールを添加した。反応溶液に窒素ガスをバブリングしながら光を照射すると窒素ガスをバブリングしない場合に比べて、少量であるがアンモニア濃度が増大することがわかった。また、アンモニアの生成量は反応時間に応じて増加する明らかとなった。以上の結果より、水から発生する水素と分子状の窒素からアンモニアが生成することが明らかとなった。今後、犠牲剤がない条件でのアンモニア合成を試みるつもりである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、水と窒素から光エネルギーを使ってアンモニアの合成に成功したため。現在、生成量は多くはないが、光エネルギーとユビキタス材料から高付加価値材料であるアンモニアを合成できることをみいだしたことは非常に重要な結果であるため。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、酸化チタンを水の酸化能に乏しい光触媒として用いている。今後、水の酸化能を有する半導体光触媒上にナノ合金を析出させた触媒を作製することにより、犠牲試薬なしにアンモニアを合成するために触媒を作製するつもりである。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、作製した光触媒のアンモニア生成の可能性を探るために、既存の装置を使用して一つの触媒の特性に付いて詳細な研究を行い、触媒評価のための実験条件の調査を行った。来年度に、得られた結果に基づき評価装置の選定を行い、装置を購入するつもりである。 本年度の前半(第一四半期)に得られた成果を精査し、触媒特性の評価に必要な条件を定め、第二四半期には、光源やガラス器具などの触媒評価に必要な装置を購入するつもりである。
|