アンモニアは、肥料の原料であり、かつ水素の輸送媒体として注目される重要な材料である。これまでは、天然ガス改質により製造された水素と空気中の窒素を原料としてアンモニアが製造されてきた。しかしながら、化石燃料を水素源とする場合は、アンモニア製造にともなって、大量の二酸化炭素が排出される。したがって、化石燃料に依存しないアンモニア合成手法の開発が、気候変動を抑制するためには重要になる。そこで、本研究では、水を水素源とし、太陽光をエネルギー源とする持続可能なアンモニア合成システムの構築を目的とする。昨年度は、光触媒として広く使用されるTiO2にRuを担持した触媒に紫外光を照射することで、微量ながらもアンモニアが生成することを確認した。しかしながら、TiO2は水を酸化出来ないため、犠牲材の添加が必要となる。本年度は、更なる活性の向上を目指して、紫外光の照射により水を水素と酸素に分解する能力をもつSrTiO3を作製し、それにRuを担持した触媒によりアンモニア合成を試みた。様々な条件下でのアンモニア合成を試みた結果、わずかながらもNH3の生成を確認することができた。
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