研究課題
平成25年度は、実際に理化学研究所のAVFサイクロトロンを利用して、104番元素であるRf-261を合成し、その水酸化物サマリウム共沈挙動を調べることができた。生成率が非常に低く、半減期も短いため、化学的性質がほとんどわかっておらず、共沈挙動は報告例もなかった超重元素の水酸化サマリウム共沈挙動を調べるために、これまでは、104番元素ラザホージウム(Rf)の軽い同族元素を用いた基礎化学実験と加速器オンラインの迅速反復実験のための装置開発、およびその性能評価を行ってきた。これまでに同族元素の共沈挙動の観測とRfの実験を行うための装置開発を完了し、溶液濃度や加速器オンライン実験操作等の条件決定を終え、理化学研究所に加速器使用の申請が認められるまでに至っていた。平成25年度は、開発した装置を理化学研究所に持ち込み、加速器で合成した生成物を継続的に化学室へ迅速搬送するHeガスジェットのチューブを装置に連結し、実際にRfの同族元素であるZrとHfの放射性核種を核反応で合成して、Rfと同様の操作で共沈実験を行った。さらに、Rfはα線測定をする必要があるため、理化学研究所の連続自動α線計測装置との連結も行った。最初の実験(24時間)では、ZrとHfの実験を行った後に、そのままターゲットをCm-248に変更し、Cm-248(O-18,5n)反応によりRf-261を合成して、薄いアンモニア水を加えた条件での共沈挙動を観測した。Rfの実験としては7時間の実験で、約43カウントのイベントを観測することができ、沈殿収率を得ることができた。その後、さらに塩基性溶液の条件を変更してRfの共沈挙動の溶液濃度依存性を観測し、その挙動の同族元素との比較から、Rfの水酸化物共沈挙動が同族元素よりも擬同族元素であるThに近いことがわかった。
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RIKEN Accelerator Progress Report 2013
巻: 47 ページ: 未定