研究概要 |
おおむね申請書に記載したとおり研究を遂行し、平成24年度には次の成果を得た。 ①デジタル型の応答曲線を示す蛍光性pHセンサー(デジタル型蛍光性pHセンサー)における構成ユニット比と応答曲線の関係解明…モデルセンサーとして、様々なモル比のNIPAM(疎水性モノマー), DMAPAM(水素イオン結合モノマー), DBD-AA(蛍光性モノマー)を原料とする共重合体を合成し、pHを変化させた際の蛍光応答曲線を確認したところ、DMAPAMユニットが全体の10%程度であるときに、デジタル型の鋭いpH応答を発現することが分かった。一方、DMAPAMユニットが30%以上になると、pH応答自体が消失することも分かった。 ②機能メカニズムの解明…モデル蛍光団ならびにモデルpHセンサーを用いた検討により、デジタル型蛍光性pHセンサーの機能は、水素イオン結合ユニットにおける水素イオンの結合(解離)によってセンサーの三次元構造が変化し、それとともに水素イオン結合性ユニットの塩基性度が協同的に変化することに由来していることを明らかにした。 ③機能pHの異なるデジタル型蛍光性pHセンサーの網羅的開発…構造(塩基性)の異なる水素イオン結合モノマーを新たに4種類合成し、それらとNIPAM, DBD-AAとの共重合体を調製した。現在、これらの機能を確認中である。
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