代表的な活性酸素である一重項酸素は酸素分子の電子励起状態であり,種々の疾患関連因子として,また光線力学療法のがん細胞壊死の主役として注目されている。近年,種々の一重項酸素検出法が考案され検出装置の高感度化が進行しているが,一重項酸素を定量することが困難な状況が続いている。 本研究では基底状態の酸素分子と一重項酸素が共に常磁性であり,電子スピン共鳴装置と呼ばれる装置で電子常磁性共鳴信号として同時に検出可能であることに着目し,基底状態の酸素分子を濃度標準とした一重項酸素の新しい絶対濃度測定法を開発した。さらに,一重項酸素からの近赤外発光と電子常磁性共鳴信号の同時検出装置を試作した。
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