研究課題/領域番号 |
24655069
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
早下 隆士 上智大学, 理工学部, 教授 (70183564)
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研究分担者 |
遠藤 明 上智大学, 理工学部, 准教授 (00119124)
橋本 剛 上智大学, 理工学部, 助教 (20333049)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | デンドリマー / アゾ色素 / 超分子 / 化学センサー / ボロン酸 / 糖鎖 / 識別機能 / 分子鋳型 |
研究概要 |
本研究では, PAMAM(ポリアミドアミンデンドリマー)にボロン酸型アゾプローブを修飾した複合体を設計し、デンドリマー世代と色素プローブ導入比率を調整することで、糖認識に伴うスペクトル応答によるデンドリマー分子認識界面の機能を明らかにすることを目的とした。糖認識部位にボロン酸、発色団にアゾ基、デンドリマーとの結合部位にカルボキシル基を有するプローブB-azo-Cb2の合成をアゾカップリングにより行った。第4世代のデンドリマーであるPAMAM64とB-azo-Cb2とを物質量比を変化させながらグルコース溶液中で、DMT-MMにより脱水縮合することでグルコースをテンプレートしたB-azo-Cb2/PAMAM64 複合体を合成した。同様な方法でテンプレートなしの複合体も合成した。B-azo-Cb2/PAMAM64 複合体溶液のUV-visスペクトルとpH の関係から、グルコーステンプレートした複合体、非テンプレートの複合体それぞれに3つの等吸収点が存在することを確認した。非テンプレートの複合体では、プローブ単体と同様のスペクトル応答、糖選択性を示した。このことより、非テンプレートの複合体ではデンドリマー上のプローブは相互作用を及ぼさない位置に修飾されていることがわかった。一方グルコーステンプレートした複合体では、プローブ単体および非テンプレートの複合体と比べ、スペクトルが会合状態の挙動(短波長シフトし、吸光度が減少)を示した。また、グルコース、フルクトース、ガラクトース添加時の極大吸収波長441.5 nm におけるpHプロファイルでは、高pH領域において糖添加なしの状態に比べてグルコースとフルクトース添加時に吸光度の差が確認できた。これは複合体合成時の鋳型効果により、デンドリマー上にプローブが近接して配置され、テンプレートしたグルコースへの選択性が高まったと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デンドリマー界面を用いた分子鋳型による糖鎖識別を目的として、初年度はボロン酸型アゾプローブを設計し、界面分子鋳型効果の確認など一定の成果を上げることができた。しかしながら、合成したデンドリマー複合体の水への溶解性の問題や、デンドリマー界面のプローブ密度が、どのように界面分子鋳型に影響を与えるかなど、新たな検討事項も確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、アゾ色素を蛍光団に換えることによる高感度化や、初年度の研究で検討課題となった界面でのプローブ密度の効果検討、ATPなど他の生体関連物質を識別するための、ジピコリルアミノ基を認識サイトに持つプローブ/デンドリマー複合体の開発など、順次、研究計画を進める。様々なデンドリマー界面を、界面分子鋳型法と組み合わせることで、これまでに報告例のない人工抗体機能を持つ高性能な超分子化学センサーの開発を行いたいと考えてる。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬、ガラス器具などの消耗品費、学会での成果発表旅費、実験補助費に使用予定である。
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