本研究では、人工的なペプチド修飾法の確立に向けて、標的官能基としてシステインチオール残基を取り上げて、S-アリル化触媒の開発を目指した。目的達成にむけて、当研究室で開発されたCpRuAllQA触媒に着目した。本触媒存在下、単純なチオールに対して、1モル量のアリルアルコールを作用させると定量的にアリルスルフィドを得ることができる。水/アルコール系溶媒を用いても反応は進行する。この触媒を用いると、システイン塩酸塩に大してもS選択的にアリル化が進行する。トリペプチドであるグルタチオンとしても反応は完結する。アリル基のβ位に置換基を導入してもよく、これを足掛かりに任意の官能基を導入できると期待される。
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